週末、不意に尋ねた亀戸天神
そこは、まだやっと歩けるようになった頃の幼い自分が、母親の背中でよく過ごした場所。
とは言っても、その頃の自分の記憶を辿れるわけでもなく・・・。
「亀がいるから、あっち回れこっち回れ」だの「背中で毎回おでんをほおばっていたもんだ、お前は」と、思い出しては懐かしがる母親が、嬉しそうに話している記憶を頼ったものの……。近くに車を停めてから『あの看板覚えがある』と指さした方角へさまよい歩く炎天下。あっちか?こっちか?大きな声で交わす収拾つかない茨城弁の親子にシビレを切らしたのか?物怖じしない嫁が、サッサと通行人に尋ねこちらを誘導。到着してみると祭神輿が最後の奉納を終える間際のタイミング。
威勢の良い手締めの掛け声。
響き渡る凛とした夏の風情。
情緒溢れる亀戸天神境内。
亀がたくさん泳ぐ池の周りの藤棚の下の砂利道。杖なしでも、ピンピン歩き回る母親は、あと三ヶ月もすれば88歳を迎えるが同じ年齢の父親は、現在入院中。
めっきり食が細くなってしまい、体重が40キロを切るやせ細った状態。
何とか「食べたい」という気持ちが出ればいいなぁと思案して、懐かしい味を買い求めに来ました。
『船橋屋 亀戸天神前本店』http://www.funabashiya.co.jp/accessmap/shop01.html
くず餅が有名な老舗甘味屋で、この通り向かいに住んでいたのが50年前の我が家の話し。
全く面影すらない東京の様変わりに面食らっていた母親の目にも、この店と天神様の境内だけは、懐かしい記憶と全く変わらないそうです。
甘いものが好きな父親のために、あんみつ・くず餅 ひととおり手土産を買い、甘いものが苦手な自分には大好物の ところてんをひとつだけ。
その足で茨城に戻り、親父の病室へ見舞いに寄って土産話しに花を咲かす母親。歳を重ねると思い出話しが楽しいのだろうか?
それとも、思わぬ場所へ思わぬうちに連れて行かれたのが嬉しかったのか。
とにかく喜ぶ様子に「よかったなーぁ、良かったなー、お母さん。ありがとな」と、頭を下げる親父。
その親父が
「あーぁ、ウマイ!!」と、あっという間に平らげて喜んで食べたのは
意外にも トコロテン なのでした。
まぁ、親父もお袋も、喜んでくれたから良かった良かった。